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[Portico の絵](1158bytes)

Padova

この前、とあるフランスと日本の数学者とお酒を飲んでいたら、偶然3人とも Padova に行ったことがあることが分かった。 Padova にはサンアントニオ教会という、世の中の全ての ant* さ ん(アントニオ、アントニウス、アントン、アンソニー、etc.) が巡礼にくる有名な教会があるのだが、Padova 大も、実は世の中の全てのp進人間が訪ずれるべき巡礼地だったりするのかも。


Padova 大学

他のページではなるべく数学関連の話題は避けるようにしていたのだが、ここでは若干触れさせていただく。 この大学の職員用のドアの前に立つと、MCCXXII (ちょっとうろ憶え) とかいうシールが張ってあることに気付く。 これは創立が西暦 1222 年だといっているわけで、Bologna には若干負けるけれども、ともかく非常に歴史のある大学である。 元々の建物は町の中央にあるが、流石に現在は使われてはいない。 中にガリレオが講義をした講堂があったり解剖室があったりするので、見学する価値は十分にある。

数学科のある建物は、そこから 5 分程歩いたところにある。この大学で代数幾何やp進解析の研究が盛んなのは多分 Balsotti の影響が大きいのだと思う。 この辺りのことについては Academic Press から出ている "Barsotti Symposium in Algebraic Goemetry" (Perspectives in Math.) の Introduction で紹介されている。 また最初に Padova 大学に来て通された部屋は Dwork がいた部屋だった。 今は体調を崩されて USA に戻られているらしいが、彼の影響も強いみたいだ。 因みにこの部屋にはやたら古い本が沢山あった。

現在も Baldassarri, Chiarellotto, Cristante, Gerotto, Sullivan など、この関連の分野の人は多い。 そういえば Dwork の書いたものは(私には)解読が大変なものが多いのだが、Annals of Math. Study の "An Introduction to G-Functions" は Gerotto とか Sullivan 等のおかげで分かりやすいものになっている。 ありがたいことです。

図書室では、本は分野別に、雑誌は国別に分類されていた。 これはあらかじめ探したい雑誌や本の題名が分かっている場合には検索が面倒なのだが、本については、数学科に入ってきた学生がどんな本があるのか見たいと思ったときには便利そうである。 私も代数幾何とかの棚を見ていて、おお、こんな本もあったのかと気付かされたことがあった。 勿論検索カードを使えば、著者名から探すことも可能だ。

研究室の計算機は Mac が多いみたいだった。 私は Baldassarri さんの部屋の Mac から telnet してメールを読み書きすることが多かったのだが、C-c が通らなくって、Emacs を終了するときにいちいち M-x kill-emacs などとやらねばならなかった。 因みに、ここの UNIX には Mew は入ってなかったので mh-e を使ってたのだが、フランスで貰ったアカウントでメールを読むときには IHP の Sun には MH がなかった関係で RMAIL を使っていた。 C-c が使えないため、メールを書いて送る際にはそれぞれのコマンドを打たねばならず使い分けが面倒だった。 しかーし。実は 1 階にちゃんと UNIX の端末があったらしい。それを知ったのは日本に帰ってからなのだがちょっと悔しい。 ま、メール以外は日本から持っていった Linux 入れたサブノートを使ってたので問題なかったんだけど。


ラジョーネ宮 (Palazzo della Ragione)

1218 年に建設され、1306 年に現在の形になったと言われる大きな建物。 内部には、世界一大きいと言われる Salone がある。81m x 27m で高さが 27m という中には柱の無い巨大なスペースができてるわけで、この空間を利用して、現在でも様々な催し物をやっているようだった。 (Vicenza の Palladianaも参照) 私が滞在していた頃は Viaggio nel Cosmo (宇宙の旅)というのをやっていた。 入口は市役所の方にあり、そこから二階への階段を上がっていったところで、入場料 L.9.000 を払うようになっている。

中に入ると、望遠鏡の発達の歴史から始まって、我々の太陽系の様子、星や宇宙の様子、Nasa の惑星探査計画の内容などが、模型やビデオ、パネルなどを使って解説、展示されていた。 Galileo が使った望遠鏡の複製なんかも置いてある。

テーマは三つの Galileo、つまり人である Galileo Galilei、宇宙船 Galileo、そして望遠鏡の Galileo ということらしい。 ラジョーネ宮の壁は 15 世紀に描かれた天体に関する絵で囲まれており、まさにこの企画に相応しいと言える。 奧の方には Netscape で WWW を見るための計算機が置かれていて、そこに人が沢山集まっていた。 勿論 Viaggio nel Cosmo のページから始まるのだが、当然他のページにも行けるみたいだ。 誰かが Hale-Bopp 彗星のページを見ていて、美しい写真の数々に人が沢山集まっていた。 (丁度この時期、ヨーロッパでは Hale-Bopp が肉眼でも見えていた。)

計算機には IBM の AS 400 が使われていた。OS は AIX Version 4。 これは、ある人が計算機をリセットしてしまった際の画面から分かった。 大学では Macintosh が氾濫しているので、Unix を見ると少し嬉しくなる。 計算機としては、他にマルチメディアで Galileo や天体望遠鏡について説明するものがあり、これは最初の画面で英語かフランス語かイタリア語が選択できるようになっていて有難かった。 因みにイタリア語では惑星等の名前は次のようになっている。

太陽系Sistema Solare
太陽Sole
水星Mercurio
金星Venere
地球Terra
Luna
火星Marte
木星Giove
土星Saturno
天王星Urano
海王星Nettuno
冥王星Plutone

セーラームーンのアニメを見るとき役に立つかもしれない。 (だから何だと言われそうだけど。)

Emacs の W3 とかで見てる人で、もし表が表示されない、とかいう人は、バージョンを w3-3.0.50 以降 (2002年の時点なら w3-4.0pre47) に上げましょう。 やり方が、Emacs-W3 についてのところに書かれてます。

ところで、このラジョーネ宮の周りには午前中市場が開かれていて、野菜や果物が売られている。 なるべく朝の早い時間にいくと、活気のある様子が見られて良い。 何にしろ日本とは比較にならないくらい値段が安い。最初慣れない頃に、ミカン 3 etti (300g) とか言って変な顔をされたのだが、結構大量に買ったつもりでも日本円に換算すると 200 円くらいとかのことが多かった。

そんなわけで T 氏が Padova に来たときには二人でイチゴを 1kg 買ってしまったのだが、食べるのに苦労した記憶がある。 一緒に買ったサクランボの方はすぐになくなったんだけどね。


時計塔

Fiscare を貰いにいった日の晩に (イタリア語とフランス語 を参照)、C 氏と C ちゃんとでピッツァを食べに行った。 運が悪かったのか、三軒まわって三軒とも閉まっていて、四軒目にして漸く開いている店についた。 この店は Padova の中心部の北西のあたりにあったのだが、帰り道を教えて貰った時に、「ここからおまえの泊まっていたホテルの方に歩いていけば、Padova の主な建物が全部見れるよ」と教えてくれた。 そのときの目印の一つが時計台で、ラジョーネ宮 の南側の広場から西側に歩いていくと見える。 夜、遅かったせいか、ライトアップされた姿が綺麗だった。


Scrovegni 礼拝堂 (Cappella degli Scrovegni)

駅を出て正面の大きな通りをまっすぐ進むと、左手に大きな公園が見える。 ここの壁が趣きがあってよいのだが、中に入ると小さな礼拝堂が見える。 実はこれが Padova では一番の観光の目玉である Scrovegni 礼拝堂なのだった。 外見は大したことはないのだが、中に入ると、壁という壁がジォット (Giotto) のフレスコ画で埋め尽くされている。 キリストと聖母の全生涯が描かれており、とある本によると、これだけのスケールを持った絵はバチカンのシスティーナ礼拝堂か、フィレンチェの Duomo の隣の 礼拝堂か、ここくらいのものらしい。

ここに入るには、一度公園を出て市立博物館の方から入らないといけないので、注意が必要である。 そう言えば、Padova では殆ど日本人観光客を見かけなかったのだが、一度だけアメリカ人と日本人の女の子二人連れに Scrovegni 寺院への道を聞かれたことがあった。 初め、バスの運転手に道を聞いたらしいのだが、Giotto とかいう言葉を出したところ、Giotto 通り (これは大通りを狭んで反対側にある) を教えられてしまったみたいで、二人を連れて左側の公園の方に行くと、「バスの運転手には右側と教えられたんだけどなあ」とか言われてしまった。

因みに、そのときに何でイタリアに来ているんだとかいう話になって、数学の勉強とか答えると、アメリカ人の女の子から「それはいい選択だ。知り合いのロシア人の学生が数学の院に進んで簡単に Ph.D を取っていった」とか言われてしまった。 それはそのロシア人学生が優秀だったからではないんかと思うのだが…。


サンアントニオ教会 (Basilica di S. Antonio)

冒頭でも書いたのだが、世界から巡礼者が集まってくる教会である。 ところで、S 先生が Padova に居たときに、一緒に聖アントニオ教会で開かれるという無料のコンサートに連れていってもらったことがある。 ところが 15 分前になっても殆ど人が集まってこない。 勿論コンサート目的に集まっていた人もいたのだが、彼らも同じように不安な顔をして立っている。で、実は、駅の北側にサンアントニーノ教会というのがあって、そちらで行われるというオチだった。 (一応タクシーでギリギリ間に合った。) これも聖アントニオさん由来の教会なのだそうだが、その傍に、聖アントニオが行き倒れて亡くなったのを記念?してある記念碑がたっていたりして面白い。 因みに、コンサートは素晴しかった。 教会がお金を出しているんだと思うが、こういうのが無料で聞けてしまうのは羨ましい。


植物園 (Giardino Botanico)

世界最古をうたっている植物園。 もっとも大学の歴史なんかを考えてみても、結構真実味がある。 今風の見た目に綺麗な植物園というのではなく、薬になる植物、毒になる植物、香水に使われる植物とかが整然と植えられているこじんまりとしたもの。 真中に城壁に囲まれた部分があって、そのなかに樹齢 400 年以上というヤシの木があった。 ゲーテが見たということで、ゲーテのやしという名前がついていた。 城壁のまわりには兼六園のさざえ山のような小さな展望台もあり、また後から作られたのであろう温室もある。 第一印象は少々ちゃちな植物園という感じだったのだが、一通り見てみると、なかなかのものである気がする。 時期が良ければ、もっと綺麗なのかもしれない。


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