Vicenza は Venezia よりも Padova から近い。(方向は逆だが。) 各停の電車に乗っても 30 分弱で着いてしまう。 ついでに言うと、町自体もそれ程大きくはない。 が、町中に、沢山の美しい建築物が溢れている。 「地球の歩き方」によると、これはルネサンス期の天才的な建築家である Andrea Palladio とその弟子達がおかげらしい。 ともかく建築関係の人の間では結構有名らしいのだ。 因みに、私を Padova に呼んでくれた人の内の一人がこの町の駅の裏にある丘の上にあるビジネススクールで教えていることもあり、来たばかりの頃にその丘の上まで車で連れてきてもらったことがある。 が、その時はそんな有名な町であるとはつゆ知らなかったので、彼が授業をやっている間も観光も何もせずに部屋にいたのであった。
というわけで後から悔しい思いをしたので、日本に帰国する一週間前にもう一度来てみた。 以下は主にそのときの日記からの抜粋。
まずは駅前から Viale Roma に沿って公園を歩き、Piazalle de Gasperi という広場にでる。 ここで腹ごしらえをしてから、Corso a Palladio というこの町一番の大通りを進む。 Palladio という名前は、勿論 Andrea Palladio から来ている。
途中でお兄さんが隣にくっついて歩いてきて、お金がどうのこうのとか言う。 適当に No とか答えてたのだが、何しに来たんだと聞かれて、観光だと言うと、急に friendly になって、最後には笑顔で去っていった。 何かよく分からんが、良く見かける行商人と間違えられたのだろうか。
まずは最初の目的地である Basilica Palladiana (Palazzo della Ragione) に行く。 当然ここも Palladio によるものである。 Padova にあるものよりは若干小さいが、非常に美しい Ragione である。 「地球の歩き方」には土日は昼の 12:30 までとか書かれていたのだが、行ってみると中で何かの展示をやっている。 入口で見ていると、どうやらノルウェーの建築家の Sverre Fehn という人の建築の紹介らしい。 (ラジョーネの中のサロンは大きな空間なので、このような展示が開かれることは多いらしい。 Padova でもそうだった。 Padova のラジョーネ宮のところを参照。) L.10.000 とちょっと高かったが入ってみることに。 展示されていたのは彼の設計した建築物の模型、設計図、彼の見解が書き添えられた写真パネル、そして 2m 四方くらいの大きさの大理石の上に置かれた地図である。 会場を二つに仕切っている白い大きなついたてには、彼がノートに描いたイラストが拡大されてコピーされており、横に書かれたイタリア語の詩のような説明とともに面白い雰囲気を醸しだしていた。 BGM はシンセサイザーのゆったりとした音楽。 イタリアに来て思ったのだが, こちらの人はこのような空間的に贅沢なディスプレイが非常にうまい。 やはり伝統なのだろうか。 最後に 3D の CG を使った仮想的な建築物のビデオが放映されており, この CG が非常に良く出来たもので面白かった。
Basilica そのものも非常に優美であり、ここの二階から前のシニョーリ広場 を眺めてぼっとするのもよいかもしれない。隣の時計塔もかなりの高さである。 冒頭の絵はこの Basilica & 時計塔の絵なのだが、大分デフォルメしてある。
再度 Palladio 通りに戻り、途中で malagaのジェラートを買って食べながらオリンピコ劇場に。 ここも Palladio とその弟子の手によるものらしい。 門をくぐると、つたのからまった壁に囲まれた庭がある。 思わずミヒャルエンデのモモの場面とかを想像してしまった。
劇場そのものはそれ程大きなものではないが、客席の後や劇場の舞台の上の彫刻や柱が美しい。 舞台セットは固定されているようだが、遠近法とかが巧みに用いられていて、奥行きを感じさせる。 スケッチを試みたのだが、装飾が凄すぎてちょっと描き切れない感じだった。 舞台の手前には楽団用の椅子とかが置かれていて、楽譜も置いてあったから、今でも使われているのだろうと思う。 そう言えば、日本に帰る最後の週の木曜に、冒頭で書いた Vicenza で教えているという人が、このオリンピコ劇場で行われる卒業式に出席すると言っていた。 良い服を着せてもらって学生達の前に座りテレビ中継もされるので、楽しみなのだとか。
そこを出てから、隣りのインフォメーションで地図を貰い、広場を狭んで向かいにあった、キエリカーティ絵画館に入る。
ここで面白かったのは、中ほどにある天球儀と地球儀である。共に直径が 1m くらいの大きなもので、天球儀の方には外側の枠に細かい文字でびっしりと 365 日毎の説明が書き込まれていた。地球儀の方も各地の地名が詳しく書かれ ていて、芸の細かさに驚かされる。
その後、Palladio 通りを引き返す。 この道を進みつつちょっと路地裏に入ったりすると、綺麗な建物とかにぶつかったりする。 こじんまりとした美しい町である。 残念ながら時間もなかったので、丘の上の方には行けなかったのだが、 そこにも有名な教会があるらしい。