岡田さん のページから来た人御免なさい。 でもフィレンツェと言えばウフィツィ美術館で、ここではやはりこの絵が一番印象に残ってるもので...。
Firenze は Padova からは遠いので、ここだけは一泊することに。 T 氏と一緒に 10:18 の Roma 行きの IC に乗る。 2 時間 20 分くらいで Firenze に到着。
駅を出て暫く歩くと、大きな建物が見えてくる。これが花のドゥオーモ呼ばれるものである。 この町のシンボルのような感じで、周囲には沢山の土産物屋が並んでいる。 途中ジプシーなんかも寄ってきたが、そういう場合、必ず T 氏の方に寄っていき、隣りの私には見向きもしなかった。 お金を持っていそうに見える人と一緒に行くのは、結構有効かもしれない。
などという内輪受話は置いといて、ホテルを予約するなどという周到なことは全くしなかったのだが、意外と人出が多かったので、まずは泊まるところを確保した方が良いということで、行きあたりばったりでホテルを探す。 折角イタリアにいるんだしーと思いちょっと無謀だがイタリア語で "C'e una camera doppia con doccia ?" などと言ってみる。 当然答えはイタリア語で返ってきたのだが、イタリアに来て二ヶ月近くたっていたこともあり、ともかく朝食付きで、トイレは外で、シャワーがあってツインで L.130.000 だというところまでは何とか聞き取れたので、T 氏が二つ星にしてはちょっと高いんでは、と 言っていたが、面倒くさいのでそこに決める。 部屋は割かし広くて綺麗だったし。 部屋のドアには L.140.000 と書かれていたが、シーズンオフのため安くなっていたのだろうか。
昼を食べてから、また観光に。今度は Uffizi 美術館方面に向かう。
宿は駅の近くだったのだが、ここから Via Tomabuoni という通りを真直ぐに アルノ川の方に歩いていくと、Ponte Vecchio という橋に出る。この橋からの 夕日は絶品らしい。私達が着いたの時はまだまっ昼間だったのだが、この橋の 上には貴金属の店とかが並んでいて、観光客も多い。また、この橋から見える 河原には日光浴をしている人なんかも見られて面白い。
Firenze とメディチ家は、切っても切れない関係にあるが、ここはその名が示す通り、メディチ家のコジモとかが政治を取り行った Office = Uffizi を美術館に改装した所である。 ボッティチェッリの『春』(Primavera) や, 同じく彼の『ヴィーナスの誕生』(Nascita de Venere) など有名な作品が多く展示されている。 ただし、それだけに人も多く、かなり長いこと並ばなければいけなかった。 (15:30 頃に着いたのだが、実際に入れたのは 16:30 頃だった。)
建物はコの字型をしており、廊下にも、沢山の絵や彫刻などが置かれている。 因みに、このページの冒頭の挿絵は『ヴィーナスの誕生』の一部のつもりである。 笑わないように。
その後、その前のシニョーリア広場のオープンテラスの喫茶店でジェラートを食べてから、中央のドゥオーモまで戻り、その裏のドゥオーモ美術館に入る。
ここには、中二階に行く階段の踊り場に、80 歳のミケランジェロによる未完のピエタ像が置かれている。 他にもレリーフなどが置かれているのだが、これらは近づいて見てみると非常に丁寧に作られていることが分かる。
ドゥオーモの隣にそびえ立つ塔。414 段ある狭い階段を登るのは結構辛いが, 屋上からはフィレンチェの街並を見渡すことが出来るので、やはり登るべきだろう。 今回の訪問で行ったほとんどの町では、屋根の色はほぼ橙色に固定されていた。 この辺が美しさの原因なのだとは思うが、町全体が一つのコミュニティーを作っているからこそ、このような芸当が出来たのだろうか。 それとも材料の関係で必然的にそうなったのだろうか。 そういえば、とあるイタリア人の車で Padova の周辺を走っていたときに、薄緑色の団地を見かけた。 彼がすかさず「団地を建てる際にはまず色を決めなければならないが、あの色はどう考えたって趣味が悪いと思う。」と言っていた。 やはり意識して色を統一しているところがあると思う。 そう言えば、隣りのドゥオーモもこの塔と同じく白と緑とピンクの大理石を使っていて、下から見ると白っぽいのであるが、ドームの部分は、ちゃんと橙色になっている。
晩飯を食べたあとで外を歩いていると、通りのあちこちで大道芸人が芸をやっ ている。夜の 12 時近くになってもかなりの人がいたので、治安は良さそうに 思った。
翌日の朝はここからスタート。 ここのメインはかのミケランジェロが「天国の扉」と名付けた東側の扉であろう。 実際にかかっているのは日本人の寄付によるレプリカだが。 が、この八角形の建物のクーポラ(丸天井の内側)に描かれたモザイクによる壮大な聖書の絵巻も圧巻である。 ものの本によると、これ程のスケールで描かれたものは他には、Padova の Scrovegni 礼拝堂の中の Giotto のフレスコ画と、ミケランジェロのシスティーナ礼拝堂くらいであるらしい。
門をくぐってチケット売場に行く途中に吹抜けの広場があり、その中央に噴水のある池がある。 この噴水はヴェロッキオ作のイルカを持つ天使の彫刻のコピーで、本物は宮殿の 3F で見ることができる。
階段を登ると、大きな会場に出る。この横から入ると、天井画や木製の棚など素晴しい数々の部屋を順番に巡ることができるようになっている。 上ばかり見て歩いていたため首が痛くなったのだが、イタリア人はどうしてこう天井とか壁を飾りたてることにこだわったのだろうかと疑問に思う。 因みにヘラクレスの間から眺める丘の風景はなかなか良かった。
Vecchio 宮殿を出て Ponte Vecchio を通ってアルノ川を渡ってしばらく歩くと、ピッティ宮殿にでる。 ここにはいくつかの美術館が集まっているのだが、有名なのはやはりパラティーナ絵画館で、ラファエロの『小椅子の聖母』などの絵を見ることができる。 飾ってある絵も素晴しいのだが、天井画や壁の絵、モザイクの装飾が施された机なんかも美しい。 昔メディチ家の人々が使っていたというベッドなんかも置かれていて当時の生活が偲ばれる。
ピッティ宮殿から暫く歩くと Santa Maria del Carimine という教会がある。 ここには時間の関係で残念ながら入れなかったのだが、脇に Cappella Brancacci があり、ここに入った。 イタリアルネッサンスの創始者と言えば 1401 年生まれで 27 歳で夭逝したマザッチョであるが、ここには彼のフレスコ画がある。 ダビンチ以前に透視図法を使って描かれた、現実味のある絵が見られる。
それからまたピッティ宮殿の方に引き返して、その裏のボーボリ公園に入る。 切符売場と入口の間に人工の鍾乳洞と小人の噴水がある。 モデルはコジモ一世につかえた道化師らしい。
ボーボリ公園は丘の斜面に広がる広大な公園なのだが、坂を登っていくとまず野外劇場が見え、そこから更に進むと Piazzale dell'Isoletto という広場にでる。 ここらはいかにもヨーロッパの庭園という感じで、幾何学的な美しさが目に心地良い。 そこから更に登るとまた広場があり、天気にも恵まれたせいか、非常によい眺めだった。 ここらの木陰で一服する。
ここから頂上に向かって右に少し歩くと頂上にあるベルヴェデーレ要塞に登ることができるのだが、ここでは今までは見えなかった丘の反対側の風景が目に飛び込んでくる。 これが素晴しい。また要塞の上は花壇になっていて、季節もよかったせいか美しい花々が咲き乱れていた。 今回の訪問で見たイタリアのもっとも美しい風景の一つなので、もし Firenze に来ることがあれば、是非立寄ってみることをお薦めする。
最後に入ったのが、この教会である。 教会自体も縦長の美しいものだが、中にはマザッチョの「三位一体」というフレスコ画などがある。 たまたま合唱のコンサートをやっていたので、暫く聞いていた。 イタリアではこのように教会でコンサートが開かれることが多く、無料で聞けることも多い。 教会の中だけあって声が良く響く。一度こういうところで歌ってみたいものだ。
全体的な感想だが、やはりメディチ家の影響というのが町のいろんなところに現れているように思う。 有名な建築物の多くはメディチ家が栄えていた数百年 (もっと短い?) の内に建てられたそうであるが、その当時の人々がどういう物を好み、何に夢中になっていたかが感じられるような気がしたのは気のせいだろうか。