講演者と講演の概要
- 森脇湧登(理化学研究所)「Conformal block, braided multicategory and factorization」
From representations of a vertex operator algebra, D-modules (conformal blocks)
on configuration spaces of the Riemann sphere are constructed.
We show that compositions of conformal blocks are consistent
with the operad structure of the configuration spaces.
This gives an alternative proof of the result of Huang-Lepowky
that the representation category of a regular vertex operator algebra
has a structure of braided tensor category.
- 寺嶋郁二(東北大学)「量子不変量と物理」
- 藤博之(大阪工業大学)「On a generalization of the Masur-Veech volume via two dimensional gravities」
この講演では,点付きリーマン面の2次微分のモジュライ空間のMasur-Veech体積の拡張について,
Jackiw-Teitelboim (JT)重力理論と位相的漸化式を基に論じます.
位相的漸化式は,行列模型の分配関数の漸近解析から見出された相関関数の間の漸化式である一方で,
境界付き双曲リーマン面のWeil-Petersson体積が満たす,
Mirzakhaniの漸化式もまた位相的漸化式として表されることが知られています.
また,近年の2次元ディラトン重力の一つであるJT重力の分配関数に関する解析では,
Mirzakhaniの漸化式を用いた重力の量子的側面や双対性の解析が行われています.
講演では,こうした理論物理学的背景を基に,Masur-Veech体積が従う位相的漸化式の物理的解釈について論じ,
さらに(2.2m+1)ミニマル弦理論への拡張結果などについても報告したいと思います.
なお本講演は,真鍋征秀氏(大阪公大・大阪大)との共同研究
arXiv:2303.14154 [math-ph] に基づきます.
- 斎藤義久(立教大学)「楕円ルート系とその応用」
楕円ルート系とは,特異点理論の研究に端を発して1985年に齋藤恭司氏によって導入されたルート系の拡張概念で,
『ヌル・ルートの方向が2つある』という特徴を持つ.
この性質のために,楕円ルート系は古典的な意味でのルート系の範疇に収まらない対象となる.
例えば,楕円ルート系に付随するワイル群(楕円ワイル群)はコクセター群にはならない.
楕円ルート系の分類は既に齋藤恭司氏自身の手により行われているが,
同氏はその過程である制約条件を仮定しており,完全な形での分類は行われていなかった.
講演者は最近,この制約条件を外した楕円ルート系の完全分類を行い,
同時にその自己同型群を決定した(A. Fialowski氏・K. Iohara氏との共同研究).
講演では,この結果,および(筆者が考える)結果の意味について,お話ししたい.
- 中西隼斗(千葉大学)「トーリック多様体のSYZ構成に基づくホモロジー的ミラー対称性について」
ミラー対称性とは、ミラー対と呼ばれるシンプレクティック多様体と複素多様体の組におけるある種の対称性のことである。
Strominger-Yau-Zaslowらはミラー対がトーラス束とその双対トーラス束によって実現されると予想した。
すなわち、与えられたカラビ・ヤウ多様体をトーラス束として表すことでミラー多様体が
その双対トーラス束として得られる(SYZ構成)。
トーリック多様体のミラー対称性を考える場合、モーメント写像を用いることで
自然にSYZ構成を適用することができる。
本講演では、トーリック多様体を複素多様体として考え、SYZ構成を用いてそのミラー多様体を考える。
このような状況において、ミラー対称性の定式化の一つであるホモロジー的ミラー対称性を
どのように議論するかについて説明する。
- 清水勇二(ICU)「Differential calculi of some noncommutative spaces」
非可換幾何学での接続や曲率についてのReviewをする。その枠組みとして、
結合的代数 Aに対してΩ^0(A)=A なるdg代数 Ω(A)、すなわち微分カルキュラス
がある。それはAに対して選択肢がある。アフィン量子平面、ファジイ球面、
射影的量子平面などの例に触れる予定である。
- 白石 潤一(東京大学)「Non-stationary difference equations and the affine Laumon space」
非定常Ruijsenaars関数に関する諸予想について述べる. 特に, 非定常
Ruijsenaars方程式を記述する\(\mathcal{T}\)演算子(の予想)の構成には,
我々を非定常シュレディンガー方程式のq差分類似へと導く多数の現象(予想)の
観察と理解が必要となる.
本講演では, 非定常戸田系, Macdonald系, (affine) Laumon空間の幾何学などからのアプローチ
について述べる.
時間が許せば, 非定常方程式に関する最近の発展
(Shakirovの方程式, Hasegawaによる量子\(q-P_{\rm VI}\)方程式,
\(q\)-KZ方程式)との関係についても触れたい.
プログラム
2月8日(木)
10:00 ~ 11:00 森脇
11:30 ~ 12:30 寺嶋
lunch
14:30 ~ 15:30 藤
16:00 ~ 17:00 斎藤
2月9日(金)
10:00 ~ 11:00 中西
11:30 ~ 12:30 清水
lunch
14:30 ~ 15:30 白石