テラプレーン     Terraplane


 「ヒーザーン」と比較するとアクションが多い分とっつきやすい。

 「ヒーザーン」から25年後、主人公黒人の退役軍人ルーサーとジェイク(!)は特命をうけてロシアに飛ぶ。失踪した科学者の作った「空間(時間)転移装置」を、その科学者ごと奪取するのが彼らの任務だった。ルーサー、ジェイクと科学者の助手オクチャブリャーナは空間(時間)転移装置により、1937年のアメリカにとばされる。さらにそこは歴史上のアメリカとは異なるアメリカだった・・・・

   そこでは南北戦争は起こらず、奴隷解放が1913年まで遅れたため人種差別はまだまだ根強く残り、DSと呼ばれる致死性の感染症が蔓延する世界であった。

   歪んだ過去と近未来に舞台を借りて、現在も存続する人種差別の問題を深くえぐる。やはり舞台は救い難いほど暗く絶望的なのだが、ジェイクの好きなこの時代のブルースマン ロバート・ジョンスンが出てきたりと悲しくもうらやましいエピソードもある。タイトルもジョンスンの'Terraplane Blues'からきているらしい。ちなみに Terraplane はアメ車の名前。本書のBGMは "Complete Robert Johnson"をすすめたい。

 どちらの作品も最悪に暗い世界の絶望的な話なのに、読後は哀しくも透明なすがすがしさみたいなもの感じるのがとても不思議だ。

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