松井 宏樹(MATUI Hiroki)
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専門
私は主に作用素環への群作用や位相力学系から生じる作用素環について研究しています。作用素環への群作用の分類、群作用によって生じる接合積、位相力学系から作られる作用素環の構造、その作用素環を調べることによって得られる位相力学系の情報、などに興味があります。キーワードをいくつかあげるとすれば、C*環(C*-algebra)・C*環のK理論(K-theory of C*-algebra)・群作用のロホリン性(Rohlin property of group action)・カントール極小系(Cantor minimal system)・軌道同型(orbit equivalence)・非周期的なタイリング(aperiodic tiling)、といったところでしょうか。
作用素環(Operator algebras)とは何か?
定義を述べれば、ヒルベルト空間上の有界線形作用素全体の部分空間であって、積(作用素の合成)と*演算(作用素の共役)で閉じており、尚且つしかるべき位相に関して閉じているもの、となります。簡単に言えば無限次元の行列がなす環です。「しかるべき位相」には実は2種類あって、作用素の強位相(弱位相でも同じ)に関して閉じているときにフォンノイマン環(von Neumann algebras)と呼ばれ、作用素のノルム位相に関して閉じているときにC*環と呼ばれます。私はC*環を研究しています。C*環やそのK理論についての教科書としては、Kenneth R. DavidsonのC*-Algebras by Exampleという本(Fields Institute Monographs 6)が、分かりやすく且つ楽しく書かれていて、良いと思います。
カントール極小系とは何か?
カントール集合は、全不連結(totally disconnected)な位相空間の例として、位相の教科書に登場します。閉区間[0,1]を3等分して真ん中の開区間(1/3,2/3)を取り除き、残った2つの閉区間[0,1/3]と[2/3,1]に対して同様の操作を行い、以下この操作を無限回繰り返すことによって得られる集合、として普通は定義されます。ちょっと詳しく書いてある教科書なら、この集合は2点集合の可算個の無限直積空間と同相になるということも、述べられているでしょう。この位相空間は抽象的には「コンパクト・距離付け可能・全不連結・孤立点を持たない」という性質で特徴付けられることも知られています。このカントール集合というちょっと変った位相空間の上の極小な力学系について、私は研究しています。
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